Nature ハイライト
医学研究:白血病細胞による神経の移動経路の乗っ取り
Nature 560, 7716
白血病は、しばしば脳へ浸潤する。D Sipkinsたちは今回、白血病細胞が中枢神経系へ移動するのに使う新たな経路を発見した。急性リンパ芽球性白血病細胞は、脊髄や頭蓋冠の骨髄とクモ膜下腔の間を走る血管に沿って移動する。これには、急性リンパ芽球性白血病細胞で発現するインテグリン群を介した、がん細胞とこれらの血管の基底膜との接触が関与している。この相互作用に干渉すると、脳への浸潤が減少した。従って、がん細胞は、神経細胞の移動経路探索に使われる経路を勝手に使っているのである。以上のことから、今回の結果は、新たな治療の機会の可能性を示している。
2018年8月2日号の Nature ハイライト
微生物群集:永久凍土由来の微生物ゲノムの復元
医学研究:白血病細胞による神経の移動経路の乗っ取り
音響学:反射を伴わない負の屈折
有機化学:脂肪族C–H結合の官能基化
炭素循環:土壌炭素の大気への放出量が1990年以降増大している
気候変動生態学:サンゴの白化事象の群集規模の帰結
代謝学:コハク酸は褐色脂肪組織に入り、代謝疾患で熱産生を高める
自己免疫:自己免疫におけるインスリンペプチドの働き
分子生物学:細胞のDNA修復における二本鎖切断の削り込み
構造生物学:PTCH1の構造