Nature ハイライト
構造生物学:PTCH1の構造
Nature 560, 7716
ヘッジホッグ(HH)シグナル伝達経路は胚発生に必須であり、その異常な活性化はがんと関係している。リガンドとして働くHHタンパク質は、プロセシングされて脂質が付加されたシグナル分子となり、細胞膜のタンパク質であるPatchedを認識する。今回X Liたちは、ヒトPatched 1(PTCH1)と、それが自然状態でのリガンドであるソニックヘッジホッグN末端ドメイン(SHH-N)と形成した複合体について、クライオ(極低温)電子顕微鏡構造を決定した。PTCH1は、膜貫通コア中に二回転疑似対称性が見られ、またステロール感知ドメインと2つの細胞外ドメインを持つ。SHH-Nのパルミトイル化されたN末端は、2つの細胞外ドメインの間のキャビティに挿入されている。今回得られた構造は、シグナル伝達機構の解明や変異体が原因の病変を理解するための分子基盤となるだろう。
2018年8月2日号の Nature ハイライト
微生物群集:永久凍土由来の微生物ゲノムの復元
医学研究:白血病細胞による神経の移動経路の乗っ取り
音響学:反射を伴わない負の屈折
有機化学:脂肪族C–H結合の官能基化
炭素循環:土壌炭素の大気への放出量が1990年以降増大している
気候変動生態学:サンゴの白化事象の群集規模の帰結
代謝学:コハク酸は褐色脂肪組織に入り、代謝疾患で熱産生を高める
自己免疫:自己免疫におけるインスリンペプチドの働き
分子生物学:細胞のDNA修復における二本鎖切断の削り込み
構造生物学:PTCH1の構造