Nature ハイライト
生物物理学:タンポポの飛行
Nature 562, 7727
タンポポの種子は、冠毛と呼ばれる構造体につるされて空中を浮遊する。冠毛とは、毛状の突起が放射状に広がったもので、煙突掃除のブラシを小さくしたような外観をしている。飛行には、風を通さないパラシュートのような構造体の方が適しているように思われるが、そうでないのはどうしてなのか。中山尚美(英国エディンバラ大学)たちは今回、冠毛がその間隙率のおかげでタバコの煙の輪に似た環状の空気の渦(渦輪)を伴い、これによって、まるで自前の熱気球を作り出したかのように種子を浮遊させていることを明らかにした。この渦輪は、生物が空中に浮遊し続けるために用いている巧妙な仕掛けの数々に加わる、全く新しいタイプの機構と考えられる。
2018年10月18日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:見つからなかった双極子モーメント
遺伝学:マウスの遺伝子発現アトラス
がん遺伝学:MPALの2つの主要なサブタイプは遺伝学的に異なっている
生物工学:トランスクリプトームの進化を監視する
量子物理学:宇宙空間での精密干渉法に向けて
物性物理学:ディラックフェルミオンの加速を画像化する
生物物理学:タンポポの飛行
神経科学:頸髄介在ニューロンは外傷後の呼吸を回復させる
がん:マウス基底細胞がんの抵抗性機構
がん:基底細胞がんの再発機構を解明
細胞進化学:Asgard上門アーキアでは機能性プロフィリンがアクチン細胞骨格を調節する