Nature ハイライト
物性物理学:トポロジカル絶縁体で磁性体を制御
Nature 511, 7510
トポロジカル絶縁体は、注目すべき電子物性を持つ新しい形態の凝縮物質である。これは、バルク(物質内部)全体は絶縁体としてふるまうのに、表面には強固な金属状態が生じるものである。トポロジカル絶縁体の分野は比較的新しく、これまでは、こうした材料の基礎物性に重点を置いた研究が主としてなされてきた。今回、非常に効率の高いスピン流源として、典型的なトポロジカル絶縁体であるセレン化ビスマスの薄膜を室温で用いて、隣接する強磁性ニッケル–鉄合金薄膜上に強いスピン輸送トルクを誘起できることが実証され、将来の実用化の可能性が示されている。この現象は室温で起こり、合金の磁化の向きを制御する手段となり得る。こうした系は、磁気メモリーやロジックデバイスの開発で重要である。
2014年7月24日号の Nature ハイライト
精神医学:統合失調症の遺伝学
がん:エンハンサーの乗っ取りを介した腫瘍発生
構造生物学:向きが変わるとRNAの運命も変わる
量子物理学:高速のエラー訂正
物性物理学:トポロジカル絶縁体で磁性体を制御
生物地球化学:永久凍土湖の炭素収支
神経科学:皮質ニューロン分化の制御
構造生物学:鳥インフルエンザウイルスH10の特徴
遺伝学:Mycによる選択的な遺伝子調節