Nature ハイライト
構造生物学:鳥インフルエンザウイルスH10の特徴
Nature 511, 7510
インフルエンザウイルスH10N8亜型は、ヒトへの感染と死亡を引き起こした鳥インフルエンザウイルスの最も新しい例である。S Gamblinたちは、ヒトからの単離株と近縁の鳥H10ウイルスのヘマグルチニンの構造と受容体結合特性について調べ、H10ウイルスはすでにヒトの受容体と結合できるようになっているが、鳥受容体の方に高い選択性を持つことを明らかにした。ヒト受容体に結合したH10ヘマグルチニンの構造からは、パンデミックを起こしたH1N1ウイルスとH7N9ウイルス由来のヘマグルチニンの特徴との類似性も明らかになった。H10ヘマグルチニンの受容体結合部位に鳥受容体に対するアビディティー(結合の強さ)を低下させるような変異が生じれば、ヒト間の伝播がもっと起こりやすくなる可能性があるので、このウイルスは重点的に監視すべきであると著者たちは考えている。
2014年7月24日号の Nature ハイライト
精神医学:統合失調症の遺伝学
がん:エンハンサーの乗っ取りを介した腫瘍発生
構造生物学:向きが変わるとRNAの運命も変わる
量子物理学:高速のエラー訂正
物性物理学:トポロジカル絶縁体で磁性体を制御
生物地球化学:永久凍土湖の炭素収支
神経科学:皮質ニューロン分化の制御
構造生物学:鳥インフルエンザウイルスH10の特徴
遺伝学:Mycによる選択的な遺伝子調節