Nature ハイライト

生物地球化学:永久凍土湖の炭素収支

Nature 511, 7510

完新世の温暖な気候が始まると、永久凍土が融解し、多くのサーモカルスト湖(融解する永久凍土の上の地表のくぼみに融解水が集まって形成される湖)がシベリア、アラスカ、カナダ北部の広大な地域に形成された。こうした湖は一般的に、有機物の分解に起因する大気中のメタンと二酸化炭素の正味の供給源であると見なされている。しかし、有機物集積の形でこうした湖に取り込まれる炭素が温室効果ガスの放出を相殺できるかのかどうかは、分かっていない。今回、深いサーモカルスト湖の堆積物への炭素の蓄積によって、極域周辺の永久凍土域における泥炭の炭素プールの見積もりが50%以上増加し、サーモカルスト湖が最初に形成された際に温室効果ガスとして放出された更新世の永久凍土の炭素の質量を上回ることが分かった。著者たちは、サーモカルスト湖水盆地の気候への影響が、約5000年前に正味の放射加熱から正味の放射冷却に切り替わったと考えている。

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