Nature ハイライト
遺伝学:Mycによる選択的な遺伝子調節
Nature 511, 7510
哺乳類のMycがんタンパク質は転写因子で、数千個のプロモーターに結合する。現在、Mycの機能については、転写の遺伝子特異的調節因子であるとするモデルと、全ての活性化遺伝子の全体的な増幅因子であるとするモデルが提案されている。今回、2つのグループが、Mycは特定の遺伝子を調節するという考えを裏付ける証拠を報告した。A Sabòたちは、マウスのB細胞リンパ腫形成過程でのMycのゲノム内分布とRNA発現プロファイルを解析し、S Walzたちは、正常細胞とMycが形質転換させた腫瘍細胞を比較した。2つのグループは共に、Mycの過剰発現が遺伝子発現の全体的な増加を引き起こし得ることを明らかにしたが、その作用は間接的である。Mycは、他のさまざまな転写因子による調節を受け、主に特定の遺伝子群を調節することにより機能を果たしているようだ。
2014年7月24日号の Nature ハイライト
精神医学:統合失調症の遺伝学
がん:エンハンサーの乗っ取りを介した腫瘍発生
構造生物学:向きが変わるとRNAの運命も変わる
量子物理学:高速のエラー訂正
物性物理学:トポロジカル絶縁体で磁性体を制御
生物地球化学:永久凍土湖の炭素収支
神経科学:皮質ニューロン分化の制御
構造生物学:鳥インフルエンザウイルスH10の特徴
遺伝学:Mycによる選択的な遺伝子調節