Nature ハイライト

計算創薬:創薬で力を発揮した超大型化合物ライブラリー

Nature 566, 7743

創薬は非常に時間がかかることで有名である。リード化合物は、その分野でそれまでに得られている知識によって決まり、よく使われている分子骨格に限定されることが多い。探索可能な化合物空間(chemical space)を広げるために複数の方法が考えられていて、その中に候補分子を標的構造にドッキングさせるものがある。今回B Shoichetたちは、1億7000万種を超える膨大な数の分子からなるライブラリー(2年以内に10億を超えるだろうと推測されている)のドッキングについて報告している。重要なのは、ここに含まれる分子が非常に多様で、市販されていない骨格が膨大な数含まれている点である。このライブラリーが持つと考えられる力量が、AmpC型β-ラクタマーゼ(AmpC)とD4ドーパミン受容体という2種類の標的を用いて実証された。著者たちはいくつかの化合物を実際に合成して検証し、それによってこれまでで最も強力なAmpC阻害剤と、550 pMという高い親和性を持ち、GiにバイアスのかかったD4選択的アゴニストを見つけた。

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