Nature ハイライト
計算創薬:創薬で力を発揮した超大型化合物ライブラリー
Nature 566, 7743
創薬は非常に時間がかかることで有名である。リード化合物は、その分野でそれまでに得られている知識によって決まり、よく使われている分子骨格に限定されることが多い。探索可能な化合物空間(chemical space)を広げるために複数の方法が考えられていて、その中に候補分子を標的構造にドッキングさせるものがある。今回B Shoichetたちは、1億7000万種を超える膨大な数の分子からなるライブラリー(2年以内に10億を超えるだろうと推測されている)のドッキングについて報告している。重要なのは、ここに含まれる分子が非常に多様で、市販されていない骨格が膨大な数含まれている点である。このライブラリーが持つと考えられる力量が、AmpC型β-ラクタマーゼ(AmpC)とD4ドーパミン受容体という2種類の標的を用いて実証された。著者たちはいくつかの化合物を実際に合成して検証し、それによってこれまでで最も強力なAmpC阻害剤と、550 pMという高い親和性を持ち、GiにバイアスのかかったD4選択的アゴニストを見つけた。
2019年2月14日号の Nature ハイライト
海洋生物地球化学:海洋の窒素固定のパターン
生化学:CRISPRツールキットの新たなツール
計算創薬:創薬で力を発揮した超大型化合物ライブラリー
応用物理学:ナノフォトニック冷却
ナノスケール材料:電子構造の変化を捉える
免疫学:遺伝毒性ストレスから腸を保護する
リウマチ性疾患:変形性関節症におけるコレステロール代謝の役割
代謝:TSC2依存的なmTORC1の調節
腫瘍免疫学:RNAのm6A修飾はマウスの抗腫瘍免疫応答を調節する
がん:遺伝的不安定性の進化