Nature ハイライト
代謝:TSC2依存的なmTORC1の調節
Nature 566, 7743
以前の研究で、TSC2遺伝子の欠失はmTORC1を構成的に活性化させることが示されており、これまでに調べられた全てのTSC2変異は、mTORC1の構成的活性化作用を有している。しかし今回、D Kassたちは、TSC2変異のストレス依存的な影響を明らかにしている。正常な状態では、TSC2の変異はmTORC1シグナル伝達を活性化させるが、病的状態では、mTORC1の活性化が、TSC2の変異の種類に依存して増加したり減弱したりする。著者たちは、同様の振る舞いが、TSC2を調節する他のキナーゼにも適用できる可能性を示唆しているが、これはまだ明らかにされていない。彼らはまた、TSC2変異ノックインマウスは、TSC2リン酸化が変化する初めてのin vivoモデルであることも示唆している。あらゆる哺乳類細胞はTSC2とmTOR関連タンパク質を発現しており、また多くの哺乳類細胞がPKGも発現しているため、今回のデータは、心臓の治療標的以外の意味も持ち、mTORC1の調節が存在する、あるいはそうした調節が治療として有望と考えられる疾患におけるPKG活性化の潜在的な役割を広げる可能性がある。
2019年2月14日号の Nature ハイライト
海洋生物地球化学:海洋の窒素固定のパターン
生化学:CRISPRツールキットの新たなツール
計算創薬:創薬で力を発揮した超大型化合物ライブラリー
応用物理学:ナノフォトニック冷却
ナノスケール材料:電子構造の変化を捉える
免疫学:遺伝毒性ストレスから腸を保護する
リウマチ性疾患:変形性関節症におけるコレステロール代謝の役割
代謝:TSC2依存的なmTORC1の調節
腫瘍免疫学:RNAのm6A修飾はマウスの抗腫瘍免疫応答を調節する
がん:遺伝的不安定性の進化