Nature ハイライト
がん:遺伝的不安定性の進化
Nature 566, 7743
遺伝的不安定性はがんで広く見られ、変異率を上昇させて腫瘍発生を促進することがある。M Coelhoたちは今回、酵母で遺伝的不安定性の基盤となる機構を探索し、二倍体の酵母を用いて、複数の増殖阻害剤に対する抵抗性についての方向性選択が変異率に影響を及ぼす仕組みを決定した。適応変異に対する選択が繰り返し起こると、変異率が上昇した株が生じた。遺伝的不安定性につながる遺伝子は、ほぼ全てがハプロ不全で、これは変異率を上昇させるのには1つの対立遺伝子の機能喪失だけで十分であることを示している。これらの遺伝子の一部にはヒトのホモログが存在し、ヒト細胞でも1つの対立遺伝子の欠失が遺伝的不安定性につながることが示された。
2019年2月14日号の Nature ハイライト
海洋生物地球化学:海洋の窒素固定のパターン
生化学:CRISPRツールキットの新たなツール
計算創薬:創薬で力を発揮した超大型化合物ライブラリー
応用物理学:ナノフォトニック冷却
ナノスケール材料:電子構造の変化を捉える
免疫学:遺伝毒性ストレスから腸を保護する
リウマチ性疾患:変形性関節症におけるコレステロール代謝の役割
代謝:TSC2依存的なmTORC1の調節
腫瘍免疫学:RNAのm6A修飾はマウスの抗腫瘍免疫応答を調節する
がん:遺伝的不安定性の進化