Volume 572 Number 7769

Editorial

世界の政策決定者たちは、若者たちを見習って、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の時宜を得た適切な提言に耳を傾け、役割を果たすべきだ。

Teenage activists and an IPCC triumph p.283

doi: 10.1038/d41586-019-02425-7

News

IPCCが、地球温暖化を抑えるためには、世界の土地利用、農業、食生活を変える必要があるとの特別報告書を。

Eat less meat: UN climate-change report calls for change to human diet p.291

doi: 10.1038/d41586-019-02409-7

ハワイ島の30m望遠鏡(TMT)建設中断から1か月、他の望遠鏡の活動にも影響が及び、出口が見えない状況に。

Astronomy impasse: What's next for the Thirty Meter Telescope? p.292

doi: 10.1038/d41586-019-02354-5

日本の科学者たちが、真核生物の進化のカギを握ると考えられている原核生物ロキアーキオータの単離と培養に初めて成功。

Scientists glimpse oddball microbe that could help explain rise of complex life p.294

doi: 10.1038/d41586-019-02430-w

メキシコでは、相次ぐ予算削減によって、科学界が大打撃を。

Mexican science suffers under debilitating budget cuts p.294

doi: 10.1038/d41586-019-02332-x

米国アリゾナで、3500万の銀河を観測して地図を作製し、宇宙の急速膨張の歴史を明らかにするための装置Dark Energy Spectroscopic Instrument(DESI)が稼働へ。

Dark-energy mapper will reconstruct 11 billion years of cosmic history p.295

doi: 10.1038/d41586-019-02424-8

News Features

宇宙論:暗黒時代へ

The quest to unlock the secrets of the baby Universe p.298

電波天文学者たちが、EDGES(Experiment to Detect the Global Epoch of Reionization Signature)などの観測プロジェクトによって、宇宙最初の10億年の解明に取り組んでいる。

doi: 10.1038/d41586-019-02417-7

News & Views

腫瘍生物学:がん細胞のフェロトーシス

Cancer-cell death ironed out p.314

フェロトーシスは、細胞死の一種である。今回、Hippoシグナル伝達経路の特定の変異を持つ細胞はフェロトーシスに対する感受性が高いことが分かり、中皮腫と呼ばれるがんの治療法が得られる可能性が出てきた。

doi: 10.1038/d41586-019-02218-y

惑星科学:巨大衝突によって木星が混合された証拠

Signs that Jupiter was mixed by a giant impact p.315

今回、シミュレーションによって、木星の低密度のコアは、木星と天王星程度の質量の原始惑星とが衝突した結果である可能性が示唆された。この知見は、惑星形成時に巨大衝突がよく起こっていた可能性を示している。

doi: 10.1038/d41586-019-02401-1

微生物学:健康な胎盤には細菌が見つからなかった

No bacteria found in healthy placentas p.317

今回、数百の胎盤を分析して、胎児の腸に入る可能性がある微生物が胎盤に存在しないことを示す説得力のある証拠が得られた。これは、ヒトに微生物が定着する仕組みを研究する上で重要な知見である。

doi: 10.1038/d41586-019-02262-8

細胞生物学:植物が塩を感知する仕組み

How plants perceive salt p.318

塩分濃度の高い土壌は、植物の生長に悪影響を与え、作物の収量を制限する。今回、塩と結合する膜脂質が、塩分感知と、耐塩性をもたらすカルシウムシグナル伝達の開始に不可欠であることが分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-02289-x

天体物理学:高速電波バーストの位置の特定

X marks the spot for fast radio bursts p.320

高速電波バーストは、謎めいた天文学的信号で、銀河系外空間の深部に起源がある。今回、電波望遠鏡アレイを用いた観測によって、こうした信号の母銀河と思われる銀河が特定された。

doi: 10.1038/d41586-019-02400-2

腫瘍生物学:化学療法の動的考察

A dynamic view of chemotherapy effectiveness p.321

化学療法は、がん細胞を細胞老化と呼ばれる非分裂状態にして増殖を停止させることができるが、腫瘍細胞を増殖させることもある。今回、p21タンパク質の動態が、こうした運命のどちらが生じるか決めているらしいことが分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-02336-7

Articles

遺伝学:フィンランド人の隔離集団のエキソーム塩基配列解読は、まれなバリアントの関連の検出力を高める

Exome sequencing of Finnish isolates enhances rare-variant association power p.323

doi: 10.1038/s41586-019-1457-z

微生物学:ヒト胎盤には病原体が見られる場合はあるものの、マイクロバイオームは存在しない

Human placenta has no microbiome but can contain potential pathogens p.329

doi: 10.1038/s41586-019-1451-5

心血管疾患:PDGF経路の活性化がLMNA変異を拡張型心筋症に結び付ける

Activation of PDGF pathway links LMNA mutation to dilated cardiomyopathy p.335

doi: 10.1038/s41586-019-1406-x

細胞生物学:植物細胞表面のスフィンゴ脂質GIPCは塩を感知してCa2+流入を引き起こす

Plant cell-surface GIPC sphingolipids sense salt to trigger Ca2+ influx p.341

doi: 10.1038/s41586-019-1449-z

構造生物学:心筋リアノジン受容体2のカルモジュリンによる調節

Modulation of cardiac ryanodine receptor 2 by calmodulin p.347

doi: 10.1038/s41586-019-1377-y

Letters

天体物理学:大質量銀河に位置を定められた高速電波バースト

A fast radio burst localized to a massive galaxy p.352

doi: 10.1038/s41586-019-1389-7

惑星科学:巨大衝突によって作り出された木星の低密度コア

The formation of Jupiter’s diluted core by a giant impact p.355

doi: 10.1038/s41586-019-1470-2

極低温気体:ドープされたフェルミ・ハバード模型における磁気ポーラロンの画像化

Imaging magnetic polarons in the doped Fermi–Hubbard model p.358

doi: 10.1038/s41586-019-1463-1

量子物理学:任意のイオンキュービットに対するグローバルエンタングリングゲート

Global entangling gates on arbitrary ion qubit p.363

doi: 10.1038/s41586-019-1428-4

量子物理学:イオントラップ型ユニバーサル量子コンピューターにおける並列エンタングリング操作

Parallel entangling operations on a universal ion-trap quantum computer p.368

doi: 10.1038/s41586-019-1427-5

気候科学:既存のエネルギーインフラからの約束排出量は1.5℃の気候目標の達成を危うくする

Committed emissions from existing energy infrastructure jeopardize 1.5°C climate target p.373

doi: 10.1038/s41586-019-1364-3

固体地球科学:変成作用と、プレートテクトニクスの進化

Metamorphism and the evolution of plate tectonics p.378

doi: 10.1038/s41586-019-1462-2

病原体:SidJ–カルモジュリンが触媒するグルタミル化による細菌性ユビキチンリガーゼの阻害

Inhibition of bacterial ubiquitin ligases by SidJ–calmodulin catalysed glutamylation p.382

doi: 10.1038/s41586-019-1440-8

病原体:カルモジュリン依存性グルタミラーゼによる、ホスホリボシルユビキチン化の調節

Regulation of phosphoribosyl ubiquitination by a calmodulin-dependent glutamylase p.387

doi: 10.1038/s41586-019-1439-1

免疫学:マクロファージのSiglec-10を介したCD24シグナル伝達はがん免疫療法の標的である

CD24 signalling through macrophage Siglec-10 is a target for cancer immunotherapy p.392

doi: 10.1038/s41586-019-1456-0

がん:食餌中のメチオニンは、マウスがんモデルで治療に影響を与え、ヒトでは代謝を変化させる

Dietary methionine influences therapy in mouse cancer models and alters human metabolism p.397

doi: 10.1038/s41586-019-1437-3

腫瘍生物学:細胞間の相互作用はNF2–YAPシグナル伝達を介してがん細胞のフェロトーシスを決定付ける

Intercellular interaction dictates cancer cell ferroptosis via NF2–YAP signalling p.402

doi: 10.1038/s41586-019-1426-6

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