Nature ハイライト
Cover Story:磁気モーメント:二次元格子に形成された個々のポーラロンの画像化
Nature 572, 7769
固体では、電子などの可動電荷キャリアが、その周囲の格子環境とわずかに相互作用して、格子環境の秩序を少し乱すことがある。こうしたひずみは電荷キャリアの周囲に局在し、電荷キャリアとこのひずみが組み合わさってポーラロンと呼ばれる準粒子が形成される。ポーラロンは、エキゾチックな特性を持つ多くの物質の説明に重要な役割を果たすと考えられている。今回C Grossたちは、反強磁性背景を特徴とする二次元格子において形成されると予測されている、個々の磁気ポーラロンを実験的に観測したことを報告している。著者たちは、量子気体顕微鏡を用いて、ポーラロンとその内部構造を画像化し、局所的な磁場環境の変動を捉えた。表紙は、今回の結果に基づくイラストで、中央の球がポーラロンを表し、周囲の鉄粉が磁場環境の変動性を示している。
2019年8月15日号の Nature ハイライト
微生物学:子宮内無菌仮説へ逆戻り
心血管疾患:LMNA変異が誘発する不整脈の原因となる機序が判明
細胞生物学:植物が塩を感知する仕組み
構造生物学:カルモジュリンはRyR2に対してどのように作用するのか
天体物理学:反復しない高速電波バーストの位置が特定された
惑星科学:原始木星に起こった巨大衝突
気候科学:1.5℃目標のための炭素予算を上回る化石燃料インフラの排出量
病原体:微生物のユビキチン化を修飾する
免疫学:CD24はヒト固形腫瘍における自然免疫チェックポイントである
がん:メチオニンの食餌療法は腫瘍増殖を調節する
腫瘍生物学:フェロトーシスを防ぐ