Nature ハイライト
心血管疾患:LMNA変異が誘発する不整脈の原因となる機序が判明
Nature 572, 7769
ラミンAは核膜を支える骨格の成分の1つで、拡張型心筋症の5~10%の症例では、このラミンAをコードする遺伝子(LMNA)の変異が原因となっている。LMNA変異が関連する拡張型心筋症には心室性頻拍と細動が伴うが、LMNA変異が催不整脈作用の亢進に結び付く機序はこれまで不明だった。今回J Wuたちは、患者特異的な誘導多能性幹細胞由来の心筋細胞(iPSC-CM)を用いてこの疾患をモデル化することによって、LMNA変異がクロマチンの分布を乱し、その結果遺伝子の活性化に異常が生じることを明らかにしている。特に、PDGFシグナル伝達経路が活性化することが分かり、患者のiPSC-CMでPDGFRBの発現をノックダウンすると不整脈表現型が緩和されることも判明した。
2019年8月15日号の Nature ハイライト
微生物学:子宮内無菌仮説へ逆戻り
心血管疾患:LMNA変異が誘発する不整脈の原因となる機序が判明
細胞生物学:植物が塩を感知する仕組み
構造生物学:カルモジュリンはRyR2に対してどのように作用するのか
天体物理学:反復しない高速電波バーストの位置が特定された
惑星科学:原始木星に起こった巨大衝突
気候科学:1.5℃目標のための炭素予算を上回る化石燃料インフラの排出量
病原体:微生物のユビキチン化を修飾する
免疫学:CD24はヒト固形腫瘍における自然免疫チェックポイントである
がん:メチオニンの食餌療法は腫瘍増殖を調節する
腫瘍生物学:フェロトーシスを防ぐ