Nature ハイライト
構造生物学:カルモジュリンはRyR2に対してどのように作用するのか
Nature 572, 7769
2型リアノジン受容体(RyR2)は大型のイオンチャネルで、心筋にカルシウムイオンを供給し、筋収縮を可能にする。RyR2はカルシウムセンサーであるカルモジュリン(CaM)により調節されており、この相互作用はアイソフォーム特異的である。CaM–RyR2結合が起こらなくなると心不全につながることがある。今回、N Yanたちはクライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて得られたRyR2の8つの構造を報告している。さまざまな条件下にある受容体のスナップショットであるこれらの構造によって、CaMによる調節の機構が明らかになった。CaMへのカルシウム結合がRyR2との相互作用を決定することが示され、CaMを係留する「いかり」として機能しているヘリックスが突き止められた。CaMの結合により受容体の中央部分の回転が引き起こされ、その結果として小孔が閉鎖される場合があることも分かった。
2019年8月15日号の Nature ハイライト
微生物学:子宮内無菌仮説へ逆戻り
心血管疾患:LMNA変異が誘発する不整脈の原因となる機序が判明
細胞生物学:植物が塩を感知する仕組み
構造生物学:カルモジュリンはRyR2に対してどのように作用するのか
天体物理学:反復しない高速電波バーストの位置が特定された
惑星科学:原始木星に起こった巨大衝突
気候科学:1.5℃目標のための炭素予算を上回る化石燃料インフラの排出量
病原体:微生物のユビキチン化を修飾する
免疫学:CD24はヒト固形腫瘍における自然免疫チェックポイントである
がん:メチオニンの食餌療法は腫瘍増殖を調節する
腫瘍生物学:フェロトーシスを防ぐ