Nature ハイライト
病原体:微生物のユビキチン化を修飾する
Nature 572, 7769
細菌性病原体であるレジオネラ菌Legionella pneumophilaでは、SidEを介したユビキチン化がレジオネラ症発病プログラムで重要な役割を担っており、このユビキチン化は、エフェクタータンパク質であるSidJにより負に調節されているが、その機構はまだ解明されていない。今回、I DikicたちとZ Luoたちによる2つの研究で、SidJはグルタミラーゼとして機能して、SidEリガーゼであるSdeAのモノADPリボシルトランスフェラーゼ(mART)ドメイン中にある、触媒活性を担うグルタミン酸を修飾し、その結果としてSdeAのユビキチンリガーゼ活性を阻害することが明らかにされた。これは、宿主タンパク質のカルモジュリンに依存し、細胞内Ca2+レベルにより調節される。これらの2つの研究で示された構造と機能に関するデータから、細菌による発病の新たな機構の1つが明らかになり、グルタミラーゼの調節と機能に関するさらなる手掛かりを得る機会がもたらされた。
2019年8月15日号の Nature ハイライト
微生物学:子宮内無菌仮説へ逆戻り
心血管疾患:LMNA変異が誘発する不整脈の原因となる機序が判明
細胞生物学:植物が塩を感知する仕組み
構造生物学:カルモジュリンはRyR2に対してどのように作用するのか
天体物理学:反復しない高速電波バーストの位置が特定された
惑星科学:原始木星に起こった巨大衝突
気候科学:1.5℃目標のための炭素予算を上回る化石燃料インフラの排出量
病原体:微生物のユビキチン化を修飾する
免疫学:CD24はヒト固形腫瘍における自然免疫チェックポイントである
がん:メチオニンの食餌療法は腫瘍増殖を調節する
腫瘍生物学:フェロトーシスを防ぐ