Nature ハイライト
漁業:海洋漁業における微量栄養素含有量のマッピング
Nature 574, 7776
魚類には、ヒトの健康に不可欠な微量栄養素が豊富に含まれているが、多くの魚類に関する栄養成分組成の理解や、栄養収量が漁業ごとにどのように変わるかについての理解が不足しているために、食料と栄養の安全保障のために漁業を利用するのに必要な政策転換が妨げられている。今回C Hicksたちは、世界43か国における367種の魚類の栄養成分組成に関するデータと、階層ベイズモデルを用いて、世界の漁業の微量栄養素組成をマッピングした。その結果、熱帯の温度構造で漁獲された種にはカルシウム、鉄、亜鉛が、比較的小型の種にはカルシウム、鉄、オメガ3脂肪酸が、そして寒冷な温度構造で漁獲された種にはオメガ3脂肪酸が高濃度で含まれることが分かった。漁業の栄養収量と微量栄養素の摂取不足リスクを比較したところ、栄養摂取量が不十分な国の多くでは、漁獲した海水魚から利用可能な栄養素の量が沿海部のヒト集団での必要摂取量を上回ることが明らかになった。今回の知見は、世界的に最も栄養が欠乏している国々の一部については、漁業によってその栄養状態が大きく改善できる可能性があることを示唆している。
2019年10月3日号の Nature ハイライト
病原体:明らかになったペスト受容体
代謝疾患:2型糖尿病治療のためのデザイナーサイトカインIC7Fc
物性物理学:Sr2RuO4の超伝導の再検討
物性物理学:100 Kを超える温度での励起子のボース・アインシュタイン凝縮
合成:アジド合成を容易に
漁業:海洋漁業における微量栄養素含有量のマッピング
神経科学:一日の時間帯に応じた色の好み
発生生物学:in vitroでの器官間の相互作用
微生物学:新生児のマイクロバイオームには分娩様式が影響する
構造生物学:ヘリオロドプシンの構造から得られた知見