Nature ハイライト
Cover Story:おびただしい光の分岐:初めて観測された光の分岐流
Nature 583, 7814
分岐流は、波が複雑な環境を通り、強度が増した複数のチャネルを形成すると生じ、その後、これらのチャネルは波が伝播するにつれて枝分かれし続ける。この現象は、電子で初めて観察され、音波や海洋波の集束機構であると示唆されている。今回、テクニオン・イスラエル工科大学とセントラルフロリダ大学(米国)の共同研究によって、光の分岐流を実験的に初めて観測したことが報告されている。この分岐流は薄いせっけん膜の内部を伝播し、せっけん膜の厚さのばらつきによって光が集束して複数の分岐フィラメントが形成されることが観測された(表紙)。光学分野で分岐流の形成が実証されたことで、この現象を調べて理解するための新たな機会が得られる。
2020年7月2日号の Nature ハイライト
量子光学:LIGOで量子限界を超える
物性物理学:レーザーを用いた固体中の価電子の画像化
材料科学:ヒトのエナメル質微結晶の超微細構造
ゲノミクス:原発性免疫不全の遺伝学的特徴
神経科学:齧歯類における冬眠様状態の誘導
神経科学:マウスでトーパーを引き起こす
免疫学:老化細胞を除去するCAR T細胞療法
腫瘍生物学:好中球細胞外トラップ中のDNAが転移を促進する
生化学:塩基対のコンホメーション切り換えの重要性
膜の生物物理学:電位はどのようにしてイオンチャネルを開くのか
構造生物学:インフルエンザウイルス融合タンパク質のコンホメーション変化を捉える