Nature ハイライト
ゲノミクス:原発性免疫不全の遺伝学的特徴
Nature 583, 7814
K Smithたちは今回、原発性免疫不全と診断された974人とこの疾患に罹患していない血縁者344人からなる集団について全ゲノム塩基配列解読を行い、その包括的な解析結果について報告している。このコホートは、主に成人期に発症した散発性の患者で構成されており、従来、こうした患者では遺伝子診断が難しいことが証明されていた。著者たちは、全ゲノム塩基配列解読を解析するための標準的なバイオインフォマティクスツールとベイズ推定法のBeviMedとを統合することで、関連の事後確率を決定し、新たに相当数の疾患関連遺伝子候補を特定した。非コード領域の塩基配列の変動を調べることで、疾患の原因に関与する可能性のある調節領域の欠失が明らかになり、また、ゲノム規模の関連研究から、新規の高浸透度単一遺伝子性バリアントとありふれたバリアントとが共局在し、相互作用していることを示す証拠が得られた。この研究によって、ありふれたバリアントが、原発性免疫不全の表現型の複雑性に関与していることが説明され始めたことになる。
2020年7月2日号の Nature ハイライト
量子光学:LIGOで量子限界を超える
物性物理学:レーザーを用いた固体中の価電子の画像化
材料科学:ヒトのエナメル質微結晶の超微細構造
ゲノミクス:原発性免疫不全の遺伝学的特徴
神経科学:齧歯類における冬眠様状態の誘導
神経科学:マウスでトーパーを引き起こす
免疫学:老化細胞を除去するCAR T細胞療法
腫瘍生物学:好中球細胞外トラップ中のDNAが転移を促進する
生化学:塩基対のコンホメーション切り換えの重要性
膜の生物物理学:電位はどのようにしてイオンチャネルを開くのか
構造生物学:インフルエンザウイルス融合タンパク質のコンホメーション変化を捉える