Nature ハイライト
物性物理学:レーザーを用いた固体中の価電子の画像化
Nature 583, 7814
レーザー技術の進歩によって、レーザー強度を、価電子を固体中に束縛する力に匹敵するほどに高められるようになった。こうした高強度レーザーによって固体のバンド構造が大きく変化するため、レーザー励起電子が準自由粒子と同様に動くようになる可能性がある。今回E Goulielmakisたちは、レーザーで生成した高次高調波放射を用いて、MgF2とCaF2の結晶中の価電子の実空間画像を再構成している。彼らは、原子価ポテンシャルと電子密度をピコメートルスケールで画像化しており、これによって固体中のイオン半径の決定が可能になった。今回報告されたピコメートルスケールの価電子画像化法は、物質の化学的特性、電子的特性、光学的特性、トポロジカル特性を直接調べる道を開く可能性がある。
2020年7月2日号の Nature ハイライト
量子光学:LIGOで量子限界を超える
物性物理学:レーザーを用いた固体中の価電子の画像化
材料科学:ヒトのエナメル質微結晶の超微細構造
ゲノミクス:原発性免疫不全の遺伝学的特徴
神経科学:齧歯類における冬眠様状態の誘導
神経科学:マウスでトーパーを引き起こす
免疫学:老化細胞を除去するCAR T細胞療法
腫瘍生物学:好中球細胞外トラップ中のDNAが転移を促進する
生化学:塩基対のコンホメーション切り換えの重要性
膜の生物物理学:電位はどのようにしてイオンチャネルを開くのか
構造生物学:インフルエンザウイルス融合タンパク質のコンホメーション変化を捉える