Nature ハイライト
免疫学:老化細胞を除去するCAR T細胞療法
Nature 583, 7814
老化は、ストレスに応答して細胞周期の不可逆的な停止を引き起こす細胞プログラムである。免疫による老化細胞除去が起こらなくなると、慢性的な炎症性の環境が誘導され、これが慢性的な組織障害や老化に関連した疾患の原因となることが示されてきた。S Loweたちは今回、老化細胞選択的に発現する細胞表面マーカーのウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体(uPAR)に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を開発している。uPARを標的としたCAR T細胞は、in vivoで老化細胞を選択的に除去し、肝繊維症のレベルを軽減することが示された。最近の研究で、老化細胞の持つ役割ががんや繊維症以外のさまざまな疾患でも示されていることから、今回の結果は治療に対するより広い意義があると考えられる。
2020年7月2日号の Nature ハイライト
量子光学:LIGOで量子限界を超える
物性物理学:レーザーを用いた固体中の価電子の画像化
材料科学:ヒトのエナメル質微結晶の超微細構造
ゲノミクス:原発性免疫不全の遺伝学的特徴
神経科学:齧歯類における冬眠様状態の誘導
神経科学:マウスでトーパーを引き起こす
免疫学:老化細胞を除去するCAR T細胞療法
腫瘍生物学:好中球細胞外トラップ中のDNAが転移を促進する
生化学:塩基対のコンホメーション切り換えの重要性
膜の生物物理学:電位はどのようにしてイオンチャネルを開くのか
構造生物学:インフルエンザウイルス融合タンパク質のコンホメーション変化を捉える