Nature ハイライト
環境科学:生物多様性と食料と炭素のための海洋保護
Nature 592, 7854
効果的に管理されている海洋保護区(MPA)は、海洋の生物多様性およびそれに関連する生態系サービスの保護や回復に有効な管理ツールとなり得る。しかし2020年8月の時点では、MPAとして指定または提案されている海洋区域の面積は全体の7%程度で、実際に完全または高度な保護が実施されている区域は2.7%にすぎない。今回E Salaたちは、戦略的な保全計画が、生物多様性の保全、食料の供給、海洋の炭素貯蔵に関して利益を生むことができるかどうか調べた。その結果、海洋の保護の大幅な強化が、これら3つの部門全てに利益をもたらし得ることが分かった。例えば、海洋の45%を保護すれば、MPAから得られる可能性のある生物多様性の最大の利益の71%、食料供給の利益の92%、炭素の利益の29%が得られると考えられる。著者たちは、MPAへの投資の拡大、および海洋保全計画に対する世界的に調整された取り組みの必要性を訴えている。
2021年4月15日号の Nature ハイライト
統計力学:アクティブマターにおける非相反性の重要性
材料科学:トポロジーを変えるポリマーネットワークのファスナー
火山学:カルデラ崩壊のモデル化
環境科学:生物多様性と食料と炭素のための海洋保護
進化学:ヒトとチンパンジーのハイブリッド細胞を用いて大脳皮質の進化を探る
幹細胞:ストレスは毛包幹細胞ニッチを介して発毛を阻害する
植物科学:受精を確実に成功させる
コロナウイルス:南アフリカでのSARS-CoV-2変異株のゲノム疫学
免疫学:NASH誘発性肝細胞がんにおけるCD8 T細胞の腫瘍を促進する役割
構造生物学:セロトニンのさまざまな作用の調節機構