Nature ハイライト
構造生物学:セロトニンのさまざまな作用の調節機構
Nature 592, 7854
神経伝達物質のセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン;5-HT)は、複数ある5-HT受容体を介して、非常に数多くの生物学的機能を果たしている。このことが、5-HTが何らかの特異性を持って作用する仕組みの解明を難しくしており、神経障害を治療するために受容体を標的とする方法もよく分かっていない。今回H Xuたちは、複数の5-HT受容体(5-HT1A、5-HT1D、5-HT1E)について、5-HTや抗精神病薬などの化合物と複合体を形成した状態の構造を明らかにしている。これにより、各アゴニストが受容体に及ぼす作用が明らかになるとともに、リン脂質が5-HT1AとGタンパク質の界面に介在し、5-HT1A受容体からのシグナル伝達を調節していることも突き止められた。脂質はまた、リガンド結合ポケットの成形にも関わっていて、結合特異性の決定を助けている。
2021年4月15日号の Nature ハイライト
統計力学:アクティブマターにおける非相反性の重要性
材料科学:トポロジーを変えるポリマーネットワークのファスナー
火山学:カルデラ崩壊のモデル化
環境科学:生物多様性と食料と炭素のための海洋保護
進化学:ヒトとチンパンジーのハイブリッド細胞を用いて大脳皮質の進化を探る
幹細胞:ストレスは毛包幹細胞ニッチを介して発毛を阻害する
植物科学:受精を確実に成功させる
コロナウイルス:南アフリカでのSARS-CoV-2変異株のゲノム疫学
免疫学:NASH誘発性肝細胞がんにおけるCD8 T細胞の腫瘍を促進する役割
構造生物学:セロトニンのさまざまな作用の調節機構