Nature ハイライト
生体力学:流れに従って生きる
Nature 595, 7868
自然界は、見た目に美しく機械的にも優れた構造であふれている。深海に生息する海綿動物のカイロウドウケツ(Euplectella aspergillum)はその代表例で、極度の柔軟性と損傷に対する耐性を備えた、複雑で開放的な骨格構造を有する。しかし、この構造には、その特別な機械的特性以外にも利点がある。今回G Falcucciたちは、高性能の流体力学シミュレーションの能力を使ってカイロウドウケツの流体力学的特性に取り組み、その骨格は、深海条件でさらされる流体力学的応力の低減にも役立つ一方で、摂食や生殖に有益になる様式で、体腔内の流体再循環パターンを調節している可能性があることを見いだしている。より一般的には、今回の成果は、複雑な形状から多機能の流体の流れ場がどのように生じ得るのかを明らかにしており、ひいては多機能の人工的構造の設計を促す可能性がある。
2021年7月22日号の Nature ハイライト
惑星科学:金星の夜側の大気循環が明らかに
ナノスケール材料:アクシオン絶縁体における磁気電気結合
物性物理学:モアレグラフェンにおけるスピン三重項超伝導
生体力学:流れに従って生きる
神経科学:覚醒状態が感覚処理を変化させる
微生物学:微生物代謝物の酢酸は腸のIgAのトラフィックを調節する
コロナウイルス:脳におけるSARS-CoV-2感染のマッピング
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株に対するBNT162b2誘導性の抗体およびT細胞応答
免疫学:腫瘍の浸潤とプログレッションにおける組織常在型マクロファージの役割
細胞生物学:凝集体をしっかりと捕まえる
構造生物学:GPCRシグナル伝達がキナーゼにより調節される仕組み