Nature ハイライト

生体力学:流れに従って生きる

Nature 595, 7868

カイロウドウケツ(<i>Euplectella aspergillum</i>)の骨格構造。
カイロウドウケツ(Euplectella aspergillum)の骨格構造。 | 拡大する

Credit: Science Photo Library / Science Photo Library / Getty Images

自然界は、見た目に美しく機械的にも優れた構造であふれている。深海に生息する海綿動物のカイロウドウケツ(Euplectella aspergillum)はその代表例で、極度の柔軟性と損傷に対する耐性を備えた、複雑で開放的な骨格構造を有する。しかし、この構造には、その特別な機械的特性以外にも利点がある。今回G Falcucciたちは、高性能の流体力学シミュレーションの能力を使ってカイロウドウケツの流体力学的特性に取り組み、その骨格は、深海条件でさらされる流体力学的応力の低減にも役立つ一方で、摂食や生殖に有益になる様式で、体腔内の流体再循環パターンを調節している可能性があることを見いだしている。より一般的には、今回の成果は、複雑な形状から多機能の流体の流れ場がどのように生じ得るのかを明らかにしており、ひいては多機能の人工的構造の設計を促す可能性がある。

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