Nature ハイライト
微生物学:微生物代謝物の酢酸は腸のIgAのトラフィックを調節する
Nature 595, 7868
免疫グロブリンA(IgA)は、複雑な腸内環境で免疫恒常性の維持に重要な役割を担っている。大野博司(理化学研究所ほか)たちは今回、微生物代謝物である短鎖脂肪酸の酢酸がIgAのレベルを上昇させるだけでなく、腸の共生微生物集団に対するIgA応答性の差異も促すことを示している。大腸菌(Escherichia coli)のみを定着させたマウスでは、酢酸によりIgA応答が増強されるが、それに比べて主要な共生細菌Bacteroides thetaiotaomicronのみを定着させたマウスでは応答が比較的弱かった。さらなる実験から、IgAのこうした選択的増強は、少なくとも部分的には細菌のリポ多糖による刺激活性の差異に依存しており、この差異が、大腸内のCD4 T細胞のシグナル伝達に及ぼす影響の違いにつながることが示された。
2021年7月22日号の Nature ハイライト
惑星科学:金星の夜側の大気循環が明らかに
ナノスケール材料:アクシオン絶縁体における磁気電気結合
物性物理学:モアレグラフェンにおけるスピン三重項超伝導
生体力学:流れに従って生きる
神経科学:覚醒状態が感覚処理を変化させる
微生物学:微生物代謝物の酢酸は腸のIgAのトラフィックを調節する
コロナウイルス:脳におけるSARS-CoV-2感染のマッピング
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株に対するBNT162b2誘導性の抗体およびT細胞応答
免疫学:腫瘍の浸潤とプログレッションにおける組織常在型マクロファージの役割
細胞生物学:凝集体をしっかりと捕まえる
構造生物学:GPCRシグナル伝達がキナーゼにより調節される仕組み