Nature ハイライト
細胞生物学:凝集体をしっかりと捕まえる
Nature 595, 7868
生体分子の凝集が細胞内区画の組織化と生物過程の調節に果たす役割は、生物学で現在最も活発に研究が行われている分野の1つである。R Altmeyerたちは今回、in vivoで凝集体の硬化を促進する2つの化合物について報告している。彼らは、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が相分離によって封入体と呼ばれる凝集体を形成すること、これらの化合物が封入体の液体としての性質を変化させ、それによってウイルスの複製を阻害することを示している。RSVに感染したマウスの肺にこれらの薬剤を送り込むと、ウイルス感染が制限された。これらの化合物は「in vivoで働く凝集体阻害剤」という画期的新薬であり、医薬品としてだけでなく、相分離に依存して起こる生物過程の解明を助ける手段としても広く役立つだろう。
2021年7月22日号の Nature ハイライト
惑星科学:金星の夜側の大気循環が明らかに
ナノスケール材料:アクシオン絶縁体における磁気電気結合
物性物理学:モアレグラフェンにおけるスピン三重項超伝導
生体力学:流れに従って生きる
神経科学:覚醒状態が感覚処理を変化させる
微生物学:微生物代謝物の酢酸は腸のIgAのトラフィックを調節する
コロナウイルス:脳におけるSARS-CoV-2感染のマッピング
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株に対するBNT162b2誘導性の抗体およびT細胞応答
免疫学:腫瘍の浸潤とプログレッションにおける組織常在型マクロファージの役割
細胞生物学:凝集体をしっかりと捕まえる
構造生物学:GPCRシグナル伝達がキナーゼにより調節される仕組み