Cover Story：細胞のエネルギー供給網：骨格筋細胞ではミトコンドリアの導電ネットワークがエネルギーを分配している

表紙は、骨格筋細胞中の導電を行うミトコンドリアである。エネルギーはどのようにして細胞内に分配されるのだろうか。骨格筋では、エネルギー分配は代謝産物の促進拡散を介して起こると考えられてきたが、このような分配方法の重要性については遺伝学的証拠から疑問が投じられるようになってきた。R Balabanたちは今回、さまざまな形態の高分解能顕微鏡を使って、ミトコンドリアは、実際にエネルギーを生成しているのに加えて、自体がエネルギー分配にも役割を担っているかどうかを調べた。そして、ミトコンドリアがプロトン駆動力の形で細胞全体に伝導路を形成し、それによってエネルギーを分配していることが分かった。このネットワークの全体にわたって、ミトコンドリアタンパク質の局在状態は変化するように見え、それによってミトコンドリア膜電位の発生と使用が最適化されるらしい。このエネルギー分配ネットワークは、拡散ではなく伝導に依存しており、極めて迅速に働いていると考えられる。それによって、筋肉が新しいエネルギー要求にほぼ瞬時に応じることが可能となっているのだろう。

目次へ戻る