Nature ハイライト

化学:単一分子内での電子スピンの制御

Nature 570, 7760

分子内の励起子再結合に起因する発光は、励起子が占めるエネルギー準位間で直接的に、あるいはより高いスピン多重度のエネルギー状態を経て間接的に生じ得る。通常、観察される発光は、スピン一重項励起子再結合によるものとスピン三重項励起子再結合によるものが混ざっている。今回Y Kim(理化学研究所ほか)たちは、分子内の電子スピンを操作することによって、単一分子におけるスピン三重項励起子の選択的形成を実現している。電子スピンはバイアス電圧を用いて制御でき、これによって負に帯電した分子からスピン選択的に電子が取り除かれる。この選択的なスピン三重項形成は、ラジカル分子でも起こり得るため、より動作電圧が低い有機発光ダイオードを実現できる可能性がある。

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