Nature ハイライト
微生物学:休眠による防御
Nature 570, 7760
Cas13は、他のタイプのCRISPR系とは対照的に、塩基配列に特異的な様式と非依存的な様式の両方で侵入RNAを切断する。今回L Marraffiniたちは、ファージライブラリーを用いて、これらの活性が細菌において防御機構をもたらす仕組みを明らかにしている。Cas13は転写された標的のみを切断したが、その機能とは無関係な感染が減少した。Cas13の分解活性は感染細胞の増殖停止を誘導することが明らかになり、そのために感染の進行が妨げられ、非感染細胞は増殖できるようになる。この結果は、宿主休眠の誘導が、細菌においてファージ感染に対する集団免疫をもたらすことを示している。つまりCas13は、宿主に作用することによって、CRISPR系を回避するファージや他のウイルスに対して非特異的で広範な免疫を引き起こすことができる。この知見から、CRISPRを基盤とする集団レベルでの利他的な新しい防御機構が明らかになった。
2019年6月13日号の Nature ハイライト
古代ゲノミクス:シベリア北東部のヒトの集団史
量子物理学:極超音速の凝縮体
化学:単一分子内での電子スピンの制御
タンパク質工学:生体触媒反応の改良
大気化学:同位体データで絞り込まれた対流圏オゾン濃度の変化
古生物学:最初の菌類
古代ゲノミクス:古エスキモーのゲノム
微生物学:休眠による防御
免疫学:炎症性関節疾患の病因における滑膜繊維芽細胞の役割
構造生物学:二本鎖RNAウイルスで明らかになった一巻き型のゲノム編成
構造生物学:ポータルを通ってパッケージングされたHSV-1のDNAを可視化