Nature ハイライト

微生物学:休眠による防御

Nature 570, 7760

Cas13は、他のタイプのCRISPR系とは対照的に、塩基配列に特異的な様式と非依存的な様式の両方で侵入RNAを切断する。今回L Marraffiniたちは、ファージライブラリーを用いて、これらの活性が細菌において防御機構をもたらす仕組みを明らかにしている。Cas13は転写された標的のみを切断したが、その機能とは無関係な感染が減少した。Cas13の分解活性は感染細胞の増殖停止を誘導することが明らかになり、そのために感染の進行が妨げられ、非感染細胞は増殖できるようになる。この結果は、宿主休眠の誘導が、細菌においてファージ感染に対する集団免疫をもたらすことを示している。つまりCas13は、宿主に作用することによって、CRISPR系を回避するファージや他のウイルスに対して非特異的で広範な免疫を引き起こすことができる。この知見から、CRISPRを基盤とする集団レベルでの利他的な新しい防御機構が明らかになった。

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