Nature ハイライト
タンパク質工学:生体触媒反応の改良
Nature 570, 7760
タンパク質の設計によって、天然には見られないものを含め、特定の機能に合った多くの酵素触媒が作られている。しかし、設計による進化は強力ではあるものの、一般的に、タンパク質を構成するアミノ酸によって限定される。今回A Greenたちは、タンパク質の構成を拡張して他の残基を取り入れることによって機能を向上できることを示している。著者たちは、天然に見られる通常の触媒三残基を用い、そのうちヒスチジンをメチルヒスチジンに置き換えることで、加水分解酵素を一から設計した。メチルヒスチジンは、有機触媒反応から着想を得たもので、求核触媒であるジメチルアミノピリジン(DMAP)に似た働きをする。今回の研究は、他分野の合成方法のアイデアを酵素でも実行して新しい化学的機能を実現できる可能性があることを示唆している。
2019年6月13日号の Nature ハイライト
古代ゲノミクス:シベリア北東部のヒトの集団史
量子物理学:極超音速の凝縮体
化学:単一分子内での電子スピンの制御
タンパク質工学:生体触媒反応の改良
大気化学:同位体データで絞り込まれた対流圏オゾン濃度の変化
古生物学:最初の菌類
古代ゲノミクス:古エスキモーのゲノム
微生物学:休眠による防御
免疫学:炎症性関節疾患の病因における滑膜繊維芽細胞の役割
構造生物学:二本鎖RNAウイルスで明らかになった一巻き型のゲノム編成
構造生物学:ポータルを通ってパッケージングされたHSV-1のDNAを可視化