ミツバチゲノムの解読:社会構造の青写真
How to make a social insect p.919
セイヨウミツバチ(Apis mellifera)のゲノム全塩基配列が、国際ミツバチゲノム解読コンソーシアムから公表された。セイヨウミツバチは、授粉媒介者として地球の生態系に不可欠な存在であり、社会的行動の重要なモデル動物でもある。ほかの昆虫に比べると、ゲノムに含まれる先天性免疫関連遺伝子、クチクラ形成タンパク質遺伝子、味覚受容体遺伝子の数が少ないが、嗅覚受容体遺伝子は多く、また花蜜や花粉の利用にかかわる新規遺伝子も見つかった。集団遺伝学的研究からは、アフリカ化ミツバチは交雑によってアメリカ大陸に広まったのか、それとも原産種に取って代わったのかどうかの手がかりが得られた。News and ViewsではE O Wilsonが、このゲノムに、「ミツバチを高度な社会構造をもつ昆虫へと向上させた」重大な生物学的変化がどのように表れているかを考察している。表紙は、カタクリの仲間に止まるミツバチ(Carrol W Perkins/photolibrary.com)。doi: 10.1038/443919a