Nature ハイライト
発生:四肢は体幹にならう
Nature 443, 7114
四肢動物の外肢(いわゆる前足と後ろ足)には前後方向の極性があり、この非対称性によって、例えば親指と小指が違う理由が説明できる。この前後極性は発生早期に、胚の肢芽の後方周縁部でSonic hedgehog(Shh)遺伝子が発現することで作り出される。そしてShh の発現は、HoxA とHoxD という2 つのクラスターの遺伝子群によって制御されている。Tarchini たちは今回、Shh がHox クラスターの中のより後方に位置する遺伝子群によって制御されていることを示した。つまり、共線性による並び順に従った転写活性化のために、肢芽の最も前方部分ではこれら後方遺伝子の発現が省かれるのである。言い換えると、四肢の形状とは体幹におけるHox 遺伝子発現の共線性の副産物であり、共線性は進化が使用可能な素材を使って行いうることに対する遺伝的制約となっている。
2006年10月26日号の Nature ハイライト
時事:核犯罪の科学捜査
生態:究極のアウトソーシング
気候:砂が示す海水温の変遷
地球:湿気が増えると電気伝導度が上がる?
発生:四肢は体幹にならう
生態:種の喪失と生産力
細胞:角膜に血管が存在しない訳
医学:関節リウマチのニューモデル