Nature ハイライト
生態:究極のアウトソーシング
Nature 443, 7114
Olavius algarvensis は、地中海のエルバ島付近の浅い砂地の海底にみられる海生貧毛類(環形動物のミミズの仲間)である。驚くべきことに、この動物は口や胃、腸ばかりか腎管(腎臓に似た器官)すらもたない。消化器系の喪失がみられる動物はほかにもあるが、共生に適応して排泄系を退化させてしまった宿主動物はこれだけである。このほど、O. algarvensis の体内に存在する共生細菌群集の構成が遺伝子レベルで確認された。メタゲノム解析によって、宿主に不可欠な生理作用のうち、実に多くのものが共生生物に代行されていることが明らかになった。
2006年10月26日号の Nature ハイライト
時事:核犯罪の科学捜査
生態:究極のアウトソーシング
気候:砂が示す海水温の変遷
地球:湿気が増えると電気伝導度が上がる?
発生:四肢は体幹にならう
生態:種の喪失と生産力
細胞:角膜に血管が存在しない訳
医学:関節リウマチのニューモデル