Nature ハイライト
医学:関節リウマチのニューモデル
Nature 443, 7114
関節リウマチ治療薬の開発は、適当な動物モデルがないことが妨げとなってきたが、今回新たに開発された変異マウス系は、こうした不足を補うのに役立ちそうだ。この変異マウスはDNasell 遺伝子が欠損しているが、この変異の致死作用は、インターフェロンの構成的生産を可能にする第2 の変異によって打ち消される。このマウスはヒトの関節リウマチに似た慢性の多発性関節炎を発症するが、その原因はアポトーシスによる細胞死や赤血球成熟の際にDNA分解がうまくいかないことである。これは意外な結果だが、さまざまなマウス組織を調べてみたところ、分解されないDNA を含んだマクロファージが活性化されてTNF(腫瘍壊死因子)を生産し、これが多発性関節炎の発症につながるとわかった。TNF は関節リウマチの発症にかかわっており、関節リウマチの治療には抗TNF療法が用いられことがあるのである。
2006年10月26日号の Nature ハイライト
時事:核犯罪の科学捜査
生態:究極のアウトソーシング
気候:砂が示す海水温の変遷
地球:湿気が増えると電気伝導度が上がる?
発生:四肢は体幹にならう
生態:種の喪失と生産力
細胞:角膜に血管が存在しない訳
医学:関節リウマチのニューモデル