Nature ハイライト
環境科学:海洋からの食料の可能性を探る
Nature 588, 7836
海洋からの食料は天然漁獲漁業と海洋養殖によって生産されており、現在は世界の食用肉類生産量の17%を占めている。今回C Costelloたちは、生物経済モデルを用いて、天然漁獲漁業、魚類の海洋養殖および二枚貝類の海洋養殖という海洋の三大食料部門を対象に、経済、管理および飼料の制約条件を考慮した、海洋からの食料の2050年における世界的な供給曲線を描いている。これら3つの食料生産部門は全て、現状を大きく上回る量の持続可能な生産が可能と推定された。著者たちはまた、得られた供給曲線を一連の需要シナリオと比較することで、2050年の海洋からの食料の潜在的生産量を推定し、海洋からの食料は2050年までに2100万~4400万トンの増加が可能だと示している。これは、2050年までに98億人に達する世界人口に必要となる全肉類の推定増加量の12~25%に相当する。こうした海洋からの潜在的食料生産が実現されるかどうかは、政策改革や技術革新、将来の需要変化など、数多くの要因に左右されると考えられる。
2020年12月3日号の Nature ハイライト
精密測定:微細構造定数の精密測定の予想外の結果
物性物理学:グラフェンにおける磁性の電気的スイッチング
コンピューター科学:強化学習を用いた成層圏気球の航法
環境科学:海洋からの食料の可能性を探る
古生物学:カンブリア紀の中間的な節足動物
神経回路:異なる種類の口渇を制御する
細胞生物学:細胞の密集が心臓形成を促す仕組み
臨床研究:血清代謝物の起源
コロナウイルス:COVID-19に関連した炎症や急性肺障害における補体C5a–C5aRシグナル伝達の役割
細胞生物学:「孤児」だったSLC25A51の素性が判明