Nature ハイライト
臨床研究:血清代謝物の起源
Nature 588, 7836
ヒト血清のメタボロームは複雑であり、既知と未知の多様な化合物が含まれる。これらは内因性に産生されたり、外部から摂取されたりしたものである。いくつかの代謝物の決定要因は分かっているが、大多数については起源がよく分かっていない。E Segalたちは今回、表現型が明らかになっている475人の集団についてノンターゲットメタボロミクス解析を行い、さまざまな生化学物質を含む1251種類の代謝物のレベルを測定し、それらのうち約30%は、これまでに特徴が明らかになっていないものであることを報告している。彼らはさらに、機械学習アルゴリズムを用いて、検出された約800種類の代謝物に対する、宿主の遺伝的特性、腸マイクロバイオーム、臨床パラメーター、食餌、生活様式、身体計測値の予測力を導き出した。この解析から、食餌とマイクロバイオームの予測力が最も高いこと、そしてそれらが相互作用して特定の化合物の循環血中レベルを決定することも明らかになった。著者たちは、今回の重要な研究情報資源が、健康と疾患における代謝物の役割を調べるための今後の研究の基礎となるだろうと述べている。
2020年12月3日号の Nature ハイライト
精密測定:微細構造定数の精密測定の予想外の結果
物性物理学:グラフェンにおける磁性の電気的スイッチング
コンピューター科学:強化学習を用いた成層圏気球の航法
環境科学:海洋からの食料の可能性を探る
古生物学:カンブリア紀の中間的な節足動物
神経回路:異なる種類の口渇を制御する
細胞生物学:細胞の密集が心臓形成を促す仕組み
臨床研究:血清代謝物の起源
コロナウイルス:COVID-19に関連した炎症や急性肺障害における補体C5a–C5aRシグナル伝達の役割
細胞生物学:「孤児」だったSLC25A51の素性が判明