Nature ハイライト
古生物学:カンブリア紀の中間的な節足動物
Nature 588, 7836
カンブリア紀の海は節足動物(関節のある付属肢を持つ動物)であふれていた。カンブリア紀の節足動物の多くは現在の基準からすると奇妙だが、最も奇妙な動物であっても現生の節足動物との関係性をうかがうことができる。今回H Zengたちは、中国南部の澄江動物相に由来する新種の節足動物化石Kylinxia zhangiを記載報告している。この節足動物はサイズが小型のエビほどで、バージェス頁岩から発見された有名なオパビニア(Opabinia)に見られるような眼柄を伴う眼を5個、そしてアノマロカリス類(Anomalocaris)などの捕食者と同様の前部大付属肢を2本持ち、遊泳用の肢を多数備えていた。Kylinxiaは、放射歯類(アノマロカリス類)と、より派生的な節足動物群であるdeuteropod類との間の形態的中間種であるようだ。今回の系統発生学的解析からは、鋏角類(クモ類やサソリ類など)の鋏角と、一部の絶滅節足動物が獲物の捕獲に用いていた「大付属肢」の間の相同性も示唆された。
2020年12月3日号の Nature ハイライト
精密測定:微細構造定数の精密測定の予想外の結果
物性物理学:グラフェンにおける磁性の電気的スイッチング
コンピューター科学:強化学習を用いた成層圏気球の航法
環境科学:海洋からの食料の可能性を探る
古生物学:カンブリア紀の中間的な節足動物
神経回路:異なる種類の口渇を制御する
細胞生物学:細胞の密集が心臓形成を促す仕組み
臨床研究:血清代謝物の起源
コロナウイルス:COVID-19に関連した炎症や急性肺障害における補体C5a–C5aRシグナル伝達の役割
細胞生物学:「孤児」だったSLC25A51の素性が判明