Nature ハイライト

Cover Story:塩のない北極海:堆積物コアが示唆する過去の氷期における淡水で満ちた北極海

Nature 590, 7844

表紙は、アイスランドのヨークルスアゥルロゥン氷河湖とダイヤモンドビーチである。北極海はかつて、その大部分が棚氷で覆われていた時期があったと考えられているが、その明確な証拠を見いだすのは困難である。今回W Geibertたちは、最近の氷期において北極海および隣接するノルディック海の大半が淡水で満たされ、厚い棚氷で覆われていたことを示す結果を報告している。海洋堆積物コアについて、海水に含まれるウランの崩壊によって生成されるトリウム230を分析したところ、北極海とノルディック海から得られたコアの複数の層にトリウム230が見られないことが分かった。著者たちは、これは海水が存在しなかったことを示していると解釈している。彼らは、棚氷が効率よくダムを作り、これによってこうした水塊が大西洋から隔てられ、7万〜6万2000年前と15万〜13万1000年前の2つの期間にこの海域が淡水で満たされたと示唆している。

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