Nature ハイライト
医学研究:細菌感染はマウスモデルで過敏性腸症候群を引き起こす
Nature 590, 7844
G Boeckxstaensたちは今回、マウスでの腸への細菌感染は、食餌由来抗原に対する局所的な免疫応答を引き起こすことがあり、これはヒトにおける感染性腸炎後過敏性腸症候群(PI-IBS)の症状を模倣することを示している。この応答は、食餌由来抗原特異的なIgE抗体の産生とマスト細胞の活性化に依存していた。食餌由来抗原に再び曝露させると、マスト細胞の脱顆粒と侵害受容ニューロンの刺激が引き起こされ、それにより腹痛が増強された。この研究は、細菌感染やスーパー抗原が食物抗原に対する経口寛容を破壊することで、局所的な食物アレルギー様の免疫応答や内臓過敏症を引き起こすという概念を裏付けるものである。この知見は、IBSや炎症性腸疾患(IBD)、食物アレルギーなど、食物を介した炎症性疾患の発症に関する検証可能な新しい仮説の考案や、これらの疾患の治療法の開発に関係してくると考えられる。
2021年2月4日号の Nature ハイライト
物性物理学:室温のさびに見られる反強磁性スキルミオン
無機化学:アインスタイニウムに光を当てる
化学合成:コンピューター、次はどの実験をすればいい?
集団遺伝学:古いDNAから推測されるカリブ海地域の集団史
老化:プロスタグランジンの抑制は老齢マウスの認知機能を高める
コロナウイルス:フランスでの検査・追跡戦略の成果は芳しくない
コロナウイルス:COVID-19の死亡率には各国間で異なるパターンと一致するパターンがある
医学研究:細菌感染はマウスモデルで過敏性腸症候群を引き起こす
構造生物学:SAM複合体がタンパク質の組み込みを行う仕組み