Nature ハイライト

無機化学:アインスタイニウムに光を当てる

Nature 590, 7844

超プルトニウム元素は、希少で放射能が高いため、その化学的性質の徹底的な探究が長い間制限されてきた。超プルトニウム元素の中でおそらく最も魅力的なのは、従来の構造研究や分光学的研究用に十分な量を生成可能な周期表の元素の中で最も重い、アインスタイニウム(Es)だろう。今回R Abergelたちは、極めて少量のEsでどれほどのことができるかを示している。著者たちは、200 ng未満のEs(半減期約276日)を用いて、Es錯体を合成・単離し、その構造を調べ、Es結合距離の初めての測定結果を報告している。また、シンクロトロン放射光源を用いてこの錯体の光学特性を調べ、Esより原子番号の小さいアクチノイドでは前例のない、Es(III)状態の高感度発光を明らかにしている。今回の研究は、こうした希少かつ短寿命な元素の化学の研究に伴う実験的障害を乗り越える道を切り開くものである。

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