Nature ハイライト
物性物理学:室温のさびに見られる反強磁性スキルミオン
Nature 590, 7844
磁気スキルミオンは、実空間においてらせん状のスピンテクスチャーを持ち、スピントロニクスに応用できる可能性があるため、その研究に関心が集まっている。特に、理論的に予測されている反強磁性スキルミオンは、従来の強磁性スキルミオンと比べてより柔軟な制御が可能になることから有望である。今回P Radaelliたちは、地球上に豊富に存在する酸化鉄において、室温で反強磁性ハーフスキルミオンとバイメロンを実現したことを報告している。彼らは、こうしたトポロジカルスピンテクスチャーを、外部磁場をかけずに生成し、温度サイクルによって消失させたり再生成したりできることを示している。今後の研究では、電場を用いた反強磁性スキルミオンの運動の制御が試みられ、それによってメモリーデバイスや論理デバイスが実現される可能性がある。
2021年2月4日号の Nature ハイライト
物性物理学:室温のさびに見られる反強磁性スキルミオン
無機化学:アインスタイニウムに光を当てる
化学合成:コンピューター、次はどの実験をすればいい?
集団遺伝学:古いDNAから推測されるカリブ海地域の集団史
老化:プロスタグランジンの抑制は老齢マウスの認知機能を高める
コロナウイルス:フランスでの検査・追跡戦略の成果は芳しくない
コロナウイルス:COVID-19の死亡率には各国間で異なるパターンと一致するパターンがある
医学研究:細菌感染はマウスモデルで過敏性腸症候群を引き起こす
構造生物学:SAM複合体がタンパク質の組み込みを行う仕組み