Nature ハイライト

細胞:胚ではなくて巨大硫黄細菌?

Nature 445, 7124

原生代後期の中国ドウシャンツオ累層から出た球状の微化石はどうみても、この10年間で見つかった化石の中で最も重要な部類に入る。これらは、娘細胞の体積が増えずに進む卵割様の細胞分裂がみられることと大きさとから、動物の胚と考えられていた。この考え方が正しいとすると、化石となった6億年前の細胞から、初期の動物進化に関する重要な手がかりが得られると思われる。だが、これらの化石はどうも胚ではなかったようである。今みられる硫黄細菌であるThiomargaritaが卵割様細胞分裂を行い、リン酸塩鉱物沈着に直接関係していることが最近明らかになり、これらがドウシャンツオ微化石と非常によく似ているとわかった。動物の胚がこのように集まっているのはおかしいと前々から考えられていたし、リン酸塩形成に関しても、それらしい機構はまだ提案されていない。こうしたことからすると、これらは巨大な硫黄細菌の化石であるとするのが最も素直な説明だろう。

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