Nature ハイライト 物理:セラミックスに思わぬ難点 2007年1月11日 Nature 445, 7124 使用済み核燃料の地層処分計画は、特に注意を要するプルトニウムなどのアクチニド元素の分離にかかわるものが大部分である。これらの元素は、アルファ線を大量に放射し、ガラスよりもセラミックス中で固定化するのが望ましい処理法とされている。この役目に適していると喧伝されている一群の合成セラミックスは、地層中にあるジルコンからヒントを得て作られたものだ。ジルコンの耐久性の高さは、ウラニウムやトリウムの同位体を何十億年も保持してきたことから明らかである。今回、プルトニウムを多く含む材料を封じ込めるのに使われる合成ジルコンの新たな研究により、この材料が従来考えられていたよりも耐久性に乏しいことが示された。このような同位体から放出されるアルファ粒子は、セラミックス中の原子をあるべき位置からたたき出して、セラミックスを壊れやすくしてしまうのである。この結果からすると、たった1400年間の貯蔵で放射能漏れが起きる可能性があるということになり、これは固定化の目標とされていた24万1000年という期間よりもはるかに短い。プラスの面は、アクチニドの固定化に使われる、耐久性のもっと高そうな代替構造を評価する方法がこの研究から得られたことだ。 2007年1月11日号の Nature ハイライト 神経:触覚のベースにタッチ 海洋:足りない窒素を補充する 生理:心臓の修復 宇宙:球状星団でブラックホールが見つかった 物理:セラミックスに思わぬ難点 地球:火山ガスはあてにならない? 細胞:胚ではなくて巨大硫黄細菌? 発生:細胞運命は早い時期に決まる 目次へ戻る