Nature ハイライト
Cover Story:湾曲に沿って:細胞膜を形作る力
Nature 447, 7143
細胞膜は単なる「外被」ではない。細胞膜のトポロジーの再構築は、エンドサイトーシス、小胞形成、タンパク質分別など、細胞の重要な活動に関係している。特殊化したタンパク質が膜の湾曲を感知したり、あるいは湾曲を作り出したりして、膜の再構築を制御している。ただし、この仕事を達成するにはいくつかのタンパク質が協同して働く必要があるため、より普遍的な作用が同時に働いていると考えられる。ずっと以前から、物理学、数学、材料科学、細胞生物学などの分野で、考えられる普遍的効果、すなわち膜の曲率変化だけによって誘起されるタンパク質間の引力についての研究が行われてきた。しかし、膜の曲率変化によって誘起されるタンパク質間の作用の性質は、それが引力なのか斥力なのかさえも不明だった。今回、コンピューターシミュレーションにより、膜の曲率変化によって誘起される相互作用が確かに引力であり、強力でロバストでありうることが明らかにされている。この作用は、膜の再構築を実行するのに十分である。表紙は、協調して出芽を行おうとしている状態にあるキャプシドで覆われた仮想膜。
2007年5月24日号の Nature ハイライト
医学:ハンチントン病発症の引き金
構造生物学:アミロイドのもつジッパー
物理:レーザー用のナノ結晶
宇宙:明るいトランジェント天体を探る
発生:四肢出現までのウォームアップ
気候:風の強い礁湖
生理:体内時計を動かす仕組み
医学:免疫系から逃れる腫瘍
細胞:紡錘体の配向を制御する