Nature ハイライト 医学:ハンチントン病発症の引き金 2007年5月24日 Nature 447, 7143 酸化的損傷が老化や神経変性疾患と関連があることは数十年も前から示されていたが、酸化と老化の遺伝学との間の生理的なつながりはこれまで不明であった。今回、その関連が明らかになったようである。ハンチントン病などの神経変性疾患では、CAGトリプレット反復の伸長が認められる。ヒト・ハンチントン病のマウスモデルでは、この伸長が中年期に生じ、生涯にわたって続く。伸長は最終分化細胞に生じ、酸化的損傷と関係付けられている。グリコシラーゼOGG1が欠損すると年齢に依存した反復配列伸長は軽減し、またOGG1はDNA修復酵素であることから、酸化的損傷の異常修復がこの疾患の引き金になるとみられる。今回の研究によって、ハンチントン病の発症を防止するか、または遅らせる薬物の標的が示唆された。 2007年5月24日号の Nature ハイライト 医学:ハンチントン病発症の引き金 構造生物学:アミロイドのもつジッパー 物理:レーザー用のナノ結晶 宇宙:明るいトランジェント天体を探る 発生:四肢出現までのウォームアップ 気候:風の強い礁湖 生理:体内時計を動かす仕組み 医学:免疫系から逃れる腫瘍 細胞:紡錘体の配向を制御する 目次へ戻る