Nature ハイライト 気候:風の強い礁湖 2007年5月24日 Nature 447, 7143 計測機器によるハリケーンの記録は比較的最近始まったもので、そのために、ハリケーンの活動を支配する要因はいまだによく解明されていない。J DonnellyとJ Woodruffは、熱帯域の北大西洋西部におけるハリケーンの活動の長期間にわたる記録を構築することにより、この問題を克服した。プエルトリコのビエケス島を襲った強いハリケーンに伴う暴風雨は、この島の礁湖に粗い砂状物質を層状に残していく。そこで、礁湖から採取された堆積物コアが、過去5,000年間に襲来した強いハリケーンの頻度を導出するために用いられた。この記録は、エルニーニョおよび熱帯アフリカ地方の降雨記録と極めて類似性が高い。このことから、エルニーニョ/南方振動の変化および西アフリカのモンスーンの強度変化が、北大西洋熱帯域の強いハリケーンの頻度を支配する上で重要な役割を果たしてきたことが示唆される。 2007年5月24日号の Nature ハイライト 医学:ハンチントン病発症の引き金 構造生物学:アミロイドのもつジッパー 物理:レーザー用のナノ結晶 宇宙:明るいトランジェント天体を探る 発生:四肢出現までのウォームアップ 気候:風の強い礁湖 生理:体内時計を動かす仕組み 医学:免疫系から逃れる腫瘍 細胞:紡錘体の配向を制御する 目次へ戻る