Nature ハイライト 発生:四肢出現までのウォームアップ 2007年5月24日 Nature 447, 7143 四肢動物(陸生脊椎動物)の外肢は、この分類群が進化の過程で新たに獲得した固有の特徴であると一般的に考えられている。今回、「生きた化石」といわれるヘラチョウザメ(Polyodon spathula)の鰭の発生におけるHox遺伝子発現の研究で、四肢動物の外肢の特徴と考えられてきた遺伝子の発現と制御のパターンが、この原始的な条鰭魚類の鰭でもみられることが明らかになった。ヘラチョウザメは、2億5千万年以上前の海に広く生息した硬骨魚類の一群の数少ない生き残りの1つである。今回の研究は、四肢発生の特徴の一部がすべての硬骨魚に共通した原始的なものであり、ゼブラフィッシュのような高等魚類では進化の過程で失われてしまったことを示している。これらの結果は、魚類から四肢動物への骨格の移行形態を示すTiktaalikのような、近年発見された化石魚類の研究結果とも一致する。 2007年5月24日号の Nature ハイライト 医学:ハンチントン病発症の引き金 構造生物学:アミロイドのもつジッパー 物理:レーザー用のナノ結晶 宇宙:明るいトランジェント天体を探る 発生:四肢出現までのウォームアップ 気候:風の強い礁湖 生理:体内時計を動かす仕組み 医学:免疫系から逃れる腫瘍 細胞:紡錘体の配向を制御する 目次へ戻る