Nature ハイライト 発生:大きさに応じてパターンが調整される仕組み 2008年6月26日 Nature 453, 7199 ハンス・シュペーマンが20世紀初頭に行った研究は発生生物学に大きな影響を及ぼしたが、彼の実験結果のいくつかについては、まだ分子レベルでの説明ができていない。特に、胚の背側の半分が、すべての要素を含み、均整のとれた(しかし通常より小さい)体軸を再生できることは、大きさに応じてパターンを調整する胚の能力を示唆しているが、これがどういうものかは未解明である。Ben-Zviたちは、胚でのBMP(骨形成タンパク質)活性の勾配分布を調べた。この勾配は、シュペーマン形成体として知られる誘導的影響をもつ細胞群が規定する初期の背腹パターン形成の基盤となる。その結果明らかになったのは「往復輸送型」の機構であり、BMPリガンドはBMP抑制因子Chordinと結合して腹側へ輸送される。この往復輸送は、BMPリガンドAdmpのフィードバック抑制と組み合わさっていて、胚の大きさを量的に監視し、それに応じて活性勾配を調整することに使われている。 2008年6月26日号の Nature ハイライト 進化:魚類から四肢動物への移行 発生:大きさに応じてパターンが調整される仕組み 物性:オキシプニクタイドの超伝導ギャップ 化学:二重触媒で複雑な分子を合成 気候:ハロゲンによる熱帯のオゾン破壊 地球:ガッケル海嶺における深海底火山活動をみる 遺伝:ゲノムは結構忙しい 脳:昆虫にも空間作業記憶がある 脳:報酬指向学習はニューロンの変化による 医学:備蓄する抗インフルエンザ薬の選び方 目次へ戻る