Nature ハイライト 気候:ハロゲンによる熱帯のオゾン破壊 2008年6月26日 Nature 453, 7199 対流圏のオゾンは、空気の質や大気中化学物質の光化学分解、生態系の生存能力に影響を与えるのに加えて、重要な温室効果ガスでもある。対流圏オゾン濃度の過去150年間にわたる上昇は、気候に大きな変動をもたらしており、対流圏オゾンの収支を制御する要因の十分な解明が必要となっている。熱帯の海洋境界層は、水蒸気が豊富で太陽照射量が多く地理的に広いことから、オゾンの除去に関して全球で最も重要な場所である。この領域の海表面の大気観測はまれにしか行われないため、熱帯北大西洋のケープベルデ観測所から得られた1年間にわたる新しいデータセットは貴重である。この観測結果から、熱帯の海洋境界層におけるオゾンの光化学的な分解速度は現行の全球モデルから予測されているよりも約50%速く、この分解はハロゲンがかかわる化学反応により起こっていることが明らかになった。 2008年6月26日号の Nature ハイライト 進化:魚類から四肢動物への移行 発生:大きさに応じてパターンが調整される仕組み 物性:オキシプニクタイドの超伝導ギャップ 化学:二重触媒で複雑な分子を合成 気候:ハロゲンによる熱帯のオゾン破壊 地球:ガッケル海嶺における深海底火山活動をみる 遺伝:ゲノムは結構忙しい 脳:昆虫にも空間作業記憶がある 脳:報酬指向学習はニューロンの変化による 医学:備蓄する抗インフルエンザ薬の選び方 目次へ戻る