Nature ハイライト 化学:金触媒のサイズ効果 2008年8月21日 Nature 454, 7207 バルクの金はかなり不活性である。したがって、普通は化学反応の触媒として役に立たない。しかし、数ナノメートルまでサイズを小さくした金ナノ粒子は、極めて効果的な酸化触媒になる。このようなふるまいが何から生じるのかは、まだよくわかっていない。Turnerたちは、ほぼ1.5 nmから30 nm以上にわたるさまざまな直径の金ナノ粒子を合成し、粒子が触媒活性をもつサイズにはっきりした閾値が存在することを見いだした。直径が2 nm以上の粒子は、酸素分子によるスチレンエポキシ化反応で全く触媒活性を示さなかった。この反応は開始剤を必要とせず、担持体は不活性であった。したがって、この効果は、金の電子特性のサイズに依存する変化に関係しているようにみえる。活性をもつ粒子は、55原子からなる特に安定な金クラスターから得たものだが、この金クラスターは、実際の応用に適した金触媒の合成に使える出発物質となるかもしれない。 2008年8月21日号の Nature ハイライト 生理:BMP-7と肥満 気候:火星のオゾンの化学 化学:金触媒のサイズ効果 遺伝:シンプルライフの遺伝子 宇宙:銀河のフィラメント構造 進化:協力のための自殺 生態:海底下を支配する古細菌 細胞:大腸菌O157:H7の病原性 感覚:磁気センサーとしても働くクリプトクロム 目次へ戻る