Nature ハイライト 細胞:大腸菌O157:H7の病原性 2008年8月21日 Nature 454, 7207 大腸菌の血清型O157:H7は、腸管出血性大腸菌株の1つで、腸管上皮層に感染して重篤な胃腸障害を引き起こす。この細菌のエフェクタータンパク質であるEspFUは、細菌の接着に必要なアクチン台座構造の形成を引き起こす。このアクチン構造形成を活性化する仕組みを、2つの論文が明らかにしている。Salleeたちは生化学解析により、EspFUがアクチン核形成因子の宿主WASP(ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質)ファミリーを活性化することを示した。WASPは本来ならば、GTPアーゼのCdc42によって活性化される。また、H-C Chenたちは構造学的手法を使い、EspFUとN-WASP間の結合作用と活性化の詳細を明らかにしている。EspFUは、N-WASPの内部にある自己阻害領域を模倣して、N-WASPを活性化させ、アクチン重合を引き起こす。EspFUはこの仕組みによってWASPを特異的に活性化させるが、Cdc42の標的である広範な種類の分子は活性化されない。 2008年8月21日号の Nature ハイライト 生理:BMP-7と肥満 気候:火星のオゾンの化学 化学:金触媒のサイズ効果 遺伝:シンプルライフの遺伝子 宇宙:銀河のフィラメント構造 進化:協力のための自殺 生態:海底下を支配する古細菌 細胞:大腸菌O157:H7の病原性 感覚:磁気センサーとしても働くクリプトクロム 目次へ戻る